■開始します
「セローのオイルフィルターカバーのボルトをネジ切っちゃったよぅ~!」と泣いたのが2016年の11月。
「セローのオイルフィルターカバーのボルトをネジ切っちゃったよぅ~!」(再)がこの前、2018年の9月。
今、漏れるわけではないけれど、じわりオイルが滲むこともあるこのボルト穴。
いつまでも放っておくわけにもいかないし、やっつけるとしますかね。
★
今回の作業内容は2つ。
表記、オイルフィルターカバーボルト穴のリコイル作業と、クラッチ(フリクションプレート)の交換だ。
何故同時に行うかというと、「ガスケットとエンジンオイルがもったいないから!」 (貧乏性)
リコイル作業用としての準備品はこちら。
・リコイルキット、M6サイズ1.0ピッチ用
→ドリル、タップ、埋め込みコイル、挿入工具、つめ折り工具他
・タップハンドル
リコイル準備品
この他にガスケット(クランクケースクラッチ側)も必要になるが、今回はクラッチ交換と併用ということで。
尚、クラッチ交換については前回の作業を参照
※但し部品値上がりにつきパーツ代合計は9K円弱にアップ
それにしても工具が安くなったのには助かる。以前も書いたけれど、昔はリコイルキットというと10k円以上のゴツい奴しか売っていなかったのだ。
今はリコイルキットが1.5K円、タップハンドルが1.0K円
「工具の特許が切れたので安くなった」との噂もあるけれど、真偽は不明という事で。
★
それではと作業開始。最初はクラッチ(フリクションプレート)を。
ブレーキペダルとステップを外し、オイルを抜いてフィルターカバー、クラッチケースカバーを取り外す。
そこからフリクションプレートを交換……の具体的な作業内容については、これまた前回参照ということで。
さくっと外れました
残念ながらガスケットは再利用不可(当然)
奥から3枚目は特殊プレート
……なんてことをあらためてマニュアルで確認しながら
外したフリクションプレート。ざっくり測った厚みは3.0mmにちょい欠けるくらい。
マニュアル上の使用限界が2.8mm、なのでまだまだ使えそう。まぁ「滑る」という程ではなかったわけだし。
それにしても今の総走行距離が約6万5000km。ということは、前回交換から4万キロ使用してこの状態。
最初が2万5000km走行であの状態だったので、それを考えると減っていないよなと思う。
ま、俺は「半クラッチは罪」って言われた世代だからねぇ。
ちなみに今回も交換しないクラッチプレートは前回掃除したままの状態。となるとやはり初回は何かあったのだろう。
★
全てが外れたら各部確認、問題なし。クラッチバスケットも段差なしっと。
オイル漬けにしてあった新フリクションプレートを組み込むのは先の逆手順で。
クラッチスプリングまで付ければひと段落。
ここまでのクラッチ交換にかかった時間は1時間丁度だった。
ホコリ防止にビニールをかけてっと
★
さて、それではとメインのリコイル作業にとりかかる。
ガスケット等々を掃除したクラッチケースカバーを抱え、いそいそと作業台へ移動する。
でじはやりますか
作業手順としては、
1)・ナメた(はずの)穴をドリルでサラう
2)・穴にタップ(ネジ溝)を刻む
3)・コイルをねじ込む
となる。それではやってみよう!
……って思ってたんですけどね。 (前回もういいですか?って書いてなかったか?)
いきなりつまずいてしまう。
1)のドリル、2)のタップ。
全ネジならなんの問題もないのだけれど、フィルターボルトのネジは途中からだ。
つまり、穴中のネジ溝も途中からで、そこまでは「ネジが刻まれていないただの穴」なのだ。
M6=6mmのリコイルコイルをねじ込むための下穴のサイズは6.3mm
幸いにして先の穴部分は6.3mm以上だったけれど、タップはさすがに入らない。
かといって、入口から延々タップを切っていくわけにもいかないわけで。
最終的にはこの形にしたいんですけどね
「え~……ど~すんだこれ?」
WEBを探すが情報なし。そりゃそうだ、これ、凄い限定された状況なわけだし。
クラッチカバーをためつすがめつ。ひっくり返して考えて……「そうか、裏側からやりゃいいじゃん!」
表を弄りたくないなら裏からやればいい。
どうせカバー側には(サイズは小さいけれど)オイル抜き用の穴が開いているのだし、拡大しても悪影響はない。
コイルはどちら側から入れても結果は一緒になるわけだし。
こっち側からやればいいでしょう
★
(裏側から)作業再開。
■ 1)・ナメた(はずの)穴をドリルでサラう
キット付属の工具を使用。
本当は水平・垂直を出してやらなければならないのだけれど、下穴がしっかりしているので手動でも大丈夫。(甘い)
作業後にはCRC-556で穴を綺麗に掃除。
ドリルり(?)ました
■
2)・穴にタップ(ネジ溝)を刻む
キット付属のタップと、別途購入したタップハンドルを組み合わせて行う。
少し回してネジ山を作ったら一度少し戻し、また回して……を繰り返す。
これまた曲がると大変なのだけれど、下穴がしっかりしているので手動でも大丈夫。(甘い)
「にしてもタップなんて高校の技術家庭科以来だよなー」
慎重に慎重に
■ 3)・コイルをねじ込む
これが問題。初めてやる作業だし、ボルトのネジ位置をきちんと合わせなくてはならない。
慎重に位置を確認しながら奥へネジ込んでいく。手前(裏から作業しているので奥側)すぎるとカカリが浅くなるし、奥すぎるとボルトが最後まで締まらなくなってしまうだろう。
ボルトを仮組みして位置を確認。「この辺りかな}というところまでコイルをねじ込む。
その後、先頭のストッパを工具で叩いて折って固定する。
工具の先にコイルをセットして
作ったネジ穴に差し込んで
深さはこれくらい(かな?)
最後に別工具を差し込んで上からハンマーで叩いてストッパーを折る
★
さて、これでできたんだろうか?
裏からボルトを入れてみると綺麗にするする回って一安心。
それじゃと表から差し込むと……「あれ?」
ボルトの回りが明らかに固い。
締まらないわけではないけれど、(負荷がないのに)手で回すのが難しいくらいの固さ。
一度締めこんでから外したら、ボルトのネジ部が若干削れているようないないような……
「うん、これはコイルが曲がっちゃってるねっ!」
どうやら完全に真っすぐにリコイルできてなかった様子。
う~ん、やっぱりきちんと垂直出さなきゃ駄目だったか……
<余談>
多分、失敗の原因は、下穴を開けるのを裏からやってしまったこと。
表からやれば(途中までの穴が空いているので)垂直が出たと思うのだ。
そして下穴さえきちんと開いていれば、タップはそんなに曲がらないはずなんだよね。
ともあれ、締まらないわけではない。これで行くとしよう。(というかもうやり直しは効かないわけで)
★
削り屑の付いたクラッチケースをこれでもかというほど洗浄する。
ガスケットももう一度念入りに剥がすこと。
エンジン側のガスケットも剥がして洗浄する。
新しいガスケットをセットしててケースを付けて、プラスチックハンマーでコンコン叩いて合わせてやって。
外したままに並べておいたボルトを対角線上に締めこんでいく。
ネジ締め忘れなし(3回確認しました)
あとはブレーキペダルとステップ戻して、「やっぱ固いよな……」とぶつぶつ言いながらフィルター&カバーを取り付けて。
※件のボルトの締めこみ自体はカチっとできて一安心。
ドレンボルト戻してオイル入れて……さて、これで一通り戻ったのかな?(除くエンジンガード)
★
エンジンをかけての暖機の最中、クラッチレバーの遊びが大幅に変わっていたので調整する。
前回もこんなに変わったんだっけ?そうか、あの時はプッシュレバーの位置も変えたんだよな。
※今回は変更の必要なし
指さし確認の後、セロー発進。近所を軽く一回り。
クラッチの切れ、繋がり、軽さ、全て異常なし。そして異音の類なし。
ガレージに戻った後、エンジン回りをウエスで拭いてオイル漏れ無しを確認っと。
とりあえず、予定していた作業はなんとか対応できた様子。
トータルの作業時間(クラッチ含む)は3時間といったあたり。
若干とはいえリコイルが曲がったのは残念だけど、ボルトがきっちり締まるのは確認できた。
そして抜き差しで削れるとすればボルト側だけど、こっちは予備を2本持ってるからしばらくは大丈夫っと。(をい)
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