■せめてできるところだけでも
「最近セローの記事が少ないな……」とお嘆きの貴兄へ【誰?】
★
セローの現状的なものとしてblogに記事を書いたのが2014年の7月のこと。
これを簡単に言うと、
「5,6速で加速するときゴーっていうんだよぉ!」
エンジンのパワー云々ではなく音というか振動というか。
その後も状態は変わらず。というか徐々に悪化の気配もあり。
いろいろ調べたのだけれど、疑わしいのはやはりミッションギアの磨耗・齧り・歯欠けだっ
た。
林道ガレ場走りならいざ知らず、セローの専門外である高速道路6速全開を繰り返すとこの状況に陥りやすいらしい。
そして俺の使い方の一部(北海道ツーリングのフェリー埠頭までとか)はまさにこれに近かったのだ。
※これは4JGまで。5MPからのギアは対策されたようで…というのもBLOGに書いたとおり。
対応方法はエンジンを開けての部品(ギア)交換のみ。
そしてその作業は素人にはちょい厳しめ。
エンジンをあけることはできても、プレス機(もしくは類するなんらかの方法)が無い
とセローのギアの一部は抜けないのだ。
それでも、(プレスは別途考えるとして)弄り壊し覚悟で自分で全バラすることも考えたのだけれど、体調的にいま一つなこともありあまり乗り気にな
れなかった。
かといって丸ごとショップにお願いするとかなりの費用がかってしまう。
一昨年の北海道ツーリング以降に回らなくなった首がまだ戻っていないというのにだ。
正直、この機会にセローを手放すことも考えた。
総走行距離は5万キロオーバー、ミッション以外にも今後何が出てくるかわからない。
現行のツーリングセローにでも乗り換えれば心配は何もなくなる。
今までどおり林道にもロングツーリングにもがんがんいける。でも……
「もう一回、もう一回だけ!」
今のエンジンを修理してやることに。
フレーム問題なし、足回りOH済み、腰上OH&ボアアップ済み、電装系交換済み、そして始動性は最高。
とりあえず先の現象さえ解消できれば今のセローに不満はないのだから。
とはいえ、先のとおり自分で修理するのは難しいのでプロにお願いすることにした。
そしてできるだけ安く上げるために、自分でできるところは自分でやることにした。
というわけで、今回はその「自分でできる」部分、エンジンの脱着作業だ。
★
冷たい北風が吹く某日午前、作業開始。
外装を外し、タンクを外し、キャブを外す。ここまではいつもの(?)作業。
ホコリの入らないようにビニール袋に入れて保管しましょう
マフラーを外し、チェンジペダルを外す。
シフトの固定ボルトは緩めるだけで大丈夫そうで、実はきちんと抜かないとシフトが外れない事が多いので横着しないこと。
ステンってネバーダルとかで磨いても大丈夫なんでしたっけ?
リアホイールをズラしてチェーンを緩め、ドライブスプロケから外す。
新しい型のドライブスプロケはチェーンが外しにくい
気がする。(もちろんその方が良いのだけれど)
アンダーガードを外してエンジンオイルを抜く。
クラッチケーブルを外すのに、エンジン側の外し方を忘れていて大慌て。
そうだよな、前もこの「曲げて留める」ところが溶接に見えて慌てたんだよな。
電装ハーネス外し。充電系と点火系とアースと。
VMAXの時のように装着時に忘れると面倒な事にな
るので記録をしながら。
全部画像に撮りました
繋がっている線がなくなったのを確認したら、よし、これでエンジンを下ろす準備は完了かな。
★
エンジンを保持しているボルトは以下のとおり。
・上部ブラケットに3本(エンジンを保持しているのは1本だけだけどステーごと外す)
・前部エンジンハンガーに4本
・後部下に1本
・ピボットシャフト1本(メイン)
ボルトは向こう(左)側から
ここも左から
全てのボルトにラスペネを吹いてハンマーで軽くコンコンしておく。
サイドスタンド下にブロックを敷いて車体を水平目に。(完全に水平にすると危ないので)
エンジン下にいつものパンタジャッキ2つをセットする。
上部ブラケット外して前部ハンガーを外して。
後部下側のボルトもすんなり抜けて一安心。
最後のピボットはスイングアーム外しの際にも抜いているのでこれまた心配なしのはず。
ナット外して左側から貫通ドライバーで叩いて、いよいよというところでエンジン掴んで、それっと揺すって引っこ抜いて……ガッシャーン!
セローがシャコタンになりました。
なるほど、そりゃぁスイングアームピポットを抜けばサスもリンクごと動いちゃうよなぁ……って、サスもリンクも一度バラしてるんだから気づけよ!俺!
「ピボットのシャフトは全部抜かないほうが良い、ってのはこういうことだった のね…」とつぶやきながら、とりあえず肩で車体を支え、掴んだままのエンジンをそろそろと下ろす。
あ~、軽いセローでよかったぁ~ま、セローでもなけりゃ一人でエンジン降ろそうとは思わないんだけどさ。
※パラツインの2スト250エンジンも結構重かったよなぁ…と遠い目をする。
スカスカになった(シャコタンの)車体とコンパネ+ダンボールの上に無事置かれた空冷単気筒エンジン。
ここまでの作業で2時間というところ。
あー疲れた、飯食って休憩だ休憩!
シャコタン画像を撮る余裕はありません
★
午後、作業再開。
まずはシャコタン(しつこい)の車体。パンタジャッキを今度はフレームにかけて持ち上げる。
フリーになった足回りを、スイングアームとリンクをひねくり回しながら元の位置へと戻す。
「元ってどうなってたんだっけ?」とリンクをOHした際の画像を確認しにいったのは秘密。
フレーム+スイングアーム(右)には、先に抜いたボルト(シャフト)を途中まで(ス
イングアームが支えられれば良い)突っ込む。
反対側(左)も同様にしたいので、ボルトと丁度同じ径だった叩き棒(仮)を突っ込んでおく。
例によってセンスの無い(略
つまり黒の部分で支えないとスイングアームが落ちるということで
とりあえずこれでエンジンを乗せる準備はOK(のはず)
乗せるのはまだまだ先なので、不安定な車体の保険に天井からのタイダウンベルトを追加しておく。
外したエンジンをよしよしと眺めたら汚れ落とし。
ここしばらく泥走りしていないし、セルモーターを整備し
てからそれほど経っていないので比較的綺麗。
ただし下回りやスプロケ周りはヌタヌタなので、ブラシとクリーナーを駆使して掃除してやる。
やっぱ汚れるところは汚れてますね
よし、そこそこ綺麗になったぞ。
セローのエンジン(オイル抜き)をコンテナに入れてあれこれしての重量は34kgと
いうあたり。
宅配を利用する方は参考にどうぞ(笑)
さ~て、それじゃぁ行ってらっしゃ~
しかしこれて宅配できちゃうんだから凄いよなぁ…
もちろんこのあと緩衝材やら固定やらの処理はするんですけどね
★
■無事乗りますかどうか
エンジン乗せは降ろしの逆順!以上!、で収まるはずがないよねぇ。(お約束)
★
修理(してもらった)エンジンが無事自宅へと到着、えんやらガレージまで運んでさてと考える。
さて、どうやってこれを車体へ乗せようか。
おかえりなさい
単純明快構造の空冷単気筒とはいえ相応の重さがある。
そして持ち上げるだけならまだしも、フレームに固定する間保持しておかなければならないし、俺に腕は2本しか付いていないのだ。
※下ろす時に使ったパンタジャッキは支えにならともかく持ち上げるには不便&不安定
何か台でも作って…で気がついた。そうだ、うちにはちゃんとしたスタンドがあるじゃないか。
オフ車用スタンド出動。
エンジンを立てて(←搭載時の向きにして)乗せてみる。うん、ちょい不安定ではあるけれど手で支えておけば大丈夫そう。
レバーを足で踏んで持ち上げる。おお、楽ちん楽ちん…って、あれ?なんで素直に上がらないんだ?
エンジンを持ち上げると、フレーム前側のダウンチューブ(?)がセルモーターに当たってしまう。これを避けるべく後部へズラすと今度は後ろが引っかかる。
「おっかしいよなぁ、下ろす時はすんなり下りたのになぁ…」
あて布してある部分がぶつかります
押したり引いたりいろいろ試したがラチがあかない。何より中途半端な踏み方をしている右足がふるふると震えてくる。
「ええい!ならば外してやるわっ!」
セルモーターをすっぱりと取り外す。一度外したことのあるパーツはこういうときに迷いが無くて良い。
クランクケース側へのゴミ混入には注意必要
それっと持ち上げなおして今度はOK。
エンジンの上部をフレームに仮接続。やれやれと一息ついたらまたまた前後にひねくり回してスイングアームピボットを叩き込む。
セルモーターを戻してフロントダウンチューブ下のハンガーを仮止めして…ふー、とりあえず乗るには乗ったぞー!
ここまででまたまた2時間経過。ええい飯だ飯!(再)
※だから乗せてる途中の画像なんて撮れないってば!
<俺メモ>
・ダウンチューブとエンジンカバー右には当て布を。
・ブレーキペダルも当たるのでできれば外したいが外れない、せめてスプリングの類だけは外す。
★
作業再開。
エンジンがきちんとした位置に置かれたのを再確認してから各ボルトを本締めする。
基本太いボルトから順番に…でいいんだよね?(←誰に聞いてるんだか)
指差し確認したら電装系セット。
配線の取り回しに無理がないように。コネクタはコンタクトスプレーしてふき取って。
これまた指差し確認後、メインキーオン、ランプ類視認、一瞬だけセルボタン押してセルのキュッ音を確認っと。
ホイール動かしてチェーンを付けて遊び調整。
キャブ、スロットルワイヤー、、チョークワイヤー、クラッチワイヤーセット。
キャブセット(各種ジェット・ニードル)はとりあえず前のまま。
ガソリンタンクと燃料コック。
そしてエキパイも忘れずに。ふう、これで始動の準備は完了かな?
★
車体を水平にしてオイル量を再確認したら始動テスト。
チョークを引っ張ってセルを回したら、僅か1秒でエンジンが始動した。始動性は以前のままに絶好調の様子。
そのまま30秒キープしてチョークを戻す。
パラパラと機嫌よく回り続けるエンジン。
吹いておいたシリコンオイルの蒸発する臭いを嗅ぎながらあちこち確認するが異常は見られず。
「よーし、これで走りに出られるぞ。今日は雨だから無理として、次に晴れるのって何時だっけ?」
そして全部終わった後にぽつんと落ちていたこのゴム、いったいどこのパーツだろう?
※オイルシール系だろうけど、致命的な部品ではなさそうなので見なかったことに。(をい)
スイングアームがらみのはずなんですが…
★
<了>
==修理後の状況は別コンテンツにまとめます==
★
■ご注意■
当サイト内における整備・メンテナンス・操作は素人の手によるものであり、かつその記述内容には誤り、思い違い、記載漏れ等のある可能性があります。
この為、説明を真似て作業した場合でも、故障、事故、怪我等の危険性があります。
このようなトラブルにつき管理人は一切の責任を負いません。作業は個人の責任においてのみ行ってください。
☆
■ SEROW225 コンテンツ一覧 ■
☆
(C) 1998-2024 garage Ak!rA. All Rights Reserved.